廃陸の旅団

温かく優しい、それでいてどこか計り知れない力強いフォース。

「あなたは、スクルド老師!?」

「ほっほっほ。久しぶりじゃなカムイ君。なかなかに上達しとるようで何よりじゃな。」

スクルドはゆっくりとカムイに歩み寄る。

カムイは戦闘態勢を解き、ゆっくりと左目を閉じた。

「老師お久しぶりです。また、お会いすることができて嬉しいです。」

「ほほ、かしこまっておるの。こんな老いぼれに謙遜する必要などない。」

カムイはスクルドの右手を両手で握り締めた。

「老いぼれだなんてとんでもない。あれほどの体術は他に見たことがありませんよ。」

――すると、その時。

茂みの影から新たに一人の男が現れた。

「それもそうでしょう"瞬鍠-シュンコウ-"のスクルドと言えば、その比類無き体術と『雷弧瞬鍠-ライコシュンコウ-』の使い手として知らぬ者などいないほどですからね。」

「えっ――あ、アストン!?」
「ふふ、またお会いしましたねカムイ。」

にこっと笑うアストン。

「にしてもスクルド老師が体術の使い手だったとは知りませんでした。治癒ばかりに目が行ってしまっていたものですから。」

「なに、今は雷弧瞬鍠も使えず、体術もたかが知れる。ここ20年はスフィア戦争の償いといってはなんだが、治癒だけに専念してきたからの。若い者は知らなくて当然じゃよ。」

「お二人とも、立ち話はここまでにして、中でこれからの詳しい話をしましょう。」

ガチャッ。とサビれたドアの開く音が辺りに響く。

アストンが先頭になり中へと入っていく。

「ジンさんとマールさんは来られなかったのですね。残念です……」

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