廃陸の旅団

そうして小さな船にぎゅうぎゅうになりながらも乗り込んだ一行は、マルク廃島目指して出発した。

まだ暗い海は不気味に僅かばかりのヒカリを反射する。

「そうだ、1つ聞きたいんだけど。なぜ今回の任務にスクルド老師ほどの方が同行されているのですか?」

カムイの質問に、スクルドはピクッと眉を動かしたが、いつも通りの口調で返すのだった。

「理由など簡単じゃよ。スクアロがワシの孫娘だからじゃ。」

「えぇっ!!そうだったの!?じゃあスクルドおじいちゃんの孫が攫われちゃってたってわけ?」

こくりと頷くスクルドにジンが尋ねる。

「……そうなると疑問が1つ増えるのですが。無属民は老師の孫娘という理由でさらっていったのですか?それとも偶然に?」

「ふーむ。。。それは話せば長くなるのぉ。退屈な船旅が尚退屈にならんように気を付けねばな。」

そうしてスクルドは一呼吸、目を瞑りながら置いてゆっくりと話し始めた。







< 362 / 583 >

この作品をシェア

pagetop