廃陸の旅団
「……イクスフィールとはどんな能力なのですか?」
世界を意のままにできるだけの能力。
その力の正体に、誰もが耳を傾けていた。
「今から3000年ほど前に、人類の殆どが死滅したことを知っているかな?」
「えーそれって、旧約聖書に書かれた転生の日のことぉ?」
「流石は修道女じゃな。」
「しかしアレは、よくある迷信の類だと言われていますが。。。」
ぽつぽつと光る星が怪しく揺れる。
まるで何処かに一行を誘うかの様に。
「聖書によれば、神は人間がある禁忌を犯した為に徳の有る2人の男女を残して、惑星の全ての人間に天罰を下した。とある。」
「禁忌?」
「聖書には神の果実を食べてしまったからとあるが、真実はこうじゃ。……人間は現代のそれを遥かにしのぐ工学技術により、惑星そのものすらも破壊しかねない兵器を造り出し、神は惑星を守るため人間と兵器を海に沈めたのだ。」
ザザーっと波の音だけが辺りに響く。
「まさか、その兵器を使うための能力なのか?」
ジンの消えそうな声に、スクルドは厳しい目付きのまま頷いた。
「古代兵器は今から20年前、ちょうどスフィア戦争の渦中で発見される。しかし特殊なその兵器は扱える者など誰一人なく。兵器はある島に埋められ、その島と共に世界から消された。」
「ま、まさか……それがマルク廃島?」
「……左様じゃ。スクアロのイクスフィールはあらゆる文字を理解する能力。暗号も外語も古代文字であろうと、誰かが意を込め記したモノならば例外なく全てを解するのじゃ。」