廃陸の旅団

予期せぬ惨状


ようやく明けた夜が島を照らす。


「なるほど……確かに、廃島だな。」

そうジンがこぼしてしまうのも仕方がない。

その島は全盛期に島のほぼ全土を開拓していたのだろう。

必要最低限の木々以外は、灰色の鉄筋で満ちていた。

「ケルセウムに引けをとらないマルテリウム技術ですね。」

高層ビル、防衛塔、民家までもが当時の最新鋭のマルテリウム技術が施されていた。

しかし、今となってはその面影もない。

木々は枯れ、その廃れた体を惨めに海に曝け出し、風化した鉄筋は薄黒い鈍い光を不快に撒き散らしている。

一歩島へと乗り出すとジャリッと砂とは違う感触が足に伝わる。

よく地面を見ると光り輝く粒が敷き詰めてある。

カムイはひとつまみして親指と人差し指とですり合わせ感触を確かめる。

「風化した鉄筋が降り積もったものか……」

見渡すかぎりに光り輝く鉄粒のジュウタンが広がっている。

その景色を見てスクルドが言う。

「皮肉なものじゃ。廃れ、民のいなくなったこの土地は、まるで宝石でできているかのように美しい土地となり生まれ変わっている。」

アストンも干渉めいた声で言う。

「この地は民の帰りを待っているのかもしれませんね。表面だけ見れば死んでしまった島。しかし上陸したら、これほどまでに美しい大地がある。」

「そうですな。新しい命が芽吹かぬのも、在りし日のままを維持する為なのかもしれません。」

船をしっかりと停留させたロイとアルネアが後から追ってきた。

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