廃陸の旅団

ザッザッと足音を響かせながら現れる男は全身を灰色のマントで覆っている。

「無属民の見張り役かもしれない。みんな用意は良いか?」

カムイの言葉で各々に戦闘態勢を整えた。

そしてまるで警戒心もなくローブの男が近づいてくる。

余裕からか、はたまた一行の力量が計れないからなのか、フォースを纏う気配すらない。

あまりにも無警戒な男。

スクルドがよく男を見る。

「ん……お主。オスカーか?」

「あぁ?誰かと思ったらスクルドのとっつぁんか。久しぶりだな。」

フードを取ると、オスカーの長い髪が風に揺れる。

「お、オスカー!?なんでアンタがここに?」

相変わらずいやらしい笑みを浮かべがら、オスカーはトレードマークである不精髭を撫でる。

「何でって、そりゃあお前……ん?……んんん?」

ん?と唸る視線の先でアルネアが首を傾げていた。

急にズカズカとアルネアの傍へと近寄るオスカー。

警戒して一歩下がったアルネアの左手を握ると、手の甲にキスをした。

「可愛いお嬢さんですな。こんな危険な場所にどんな用があるかは知りませんが、あなたのことはこのオスカーがお守りしましょう。」

がっはっは。と笑うオスカー。

「……呆れた、このスケベおやじ。」

マールの本気の呟きも聞こえてはいないのだろう、依然としてアルネアの手を握りしめ満足そうだ。

「あ、あの……そろそろ行きませんか?」

引きつった笑みでアルネアがそう言うと、ようやくオスカーの手が離れた。

「そうだな。一人だけだとちょっとばかしキツそうだったんだが、この面子なら平気だろう。」

そう一行を見渡し言うと、オスカーは建物の中に入っていった。


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