廃陸の旅団
「ガルルルルル。」
「ギェェェェェッ。」
何十、何百という数のニーヴァスが一斉に振り返り、現れた侵入者を排除しようと襲い掛かる。
「はぁあっ『インパルス』!!」
マールの拳がニーヴァスの顔面を適確に捕らえ、そのニーヴァスに続いていた3体ものニーヴァスを道連れに吹き飛ばす。
「『結鎖・氷狼陣』」
十数体ものニーヴァスが一瞬にして凍り付けにされる。
それを他のニーヴァスが視認した次の瞬間には凍り付けのニーヴァスが全て粉々に砕け散っていた。
「どうだい『空衝波』の味は?」
「くっ、これだけのニーヴァスを相手にフォースが使えないのは苦しいですね。」
持ち込んだ弓矢を駆使し、なんとか倒すまではいかなくとも後退させるアストン。
目の前にいたニーヴァスの怒気をはらんだ咆哮に、一瞬、周囲への警戒が薄れた。
「――アストン!!後ろ!!」
「――しまっ」
背後からアストンに襲い掛かるニーヴァス。
カムイの叫びにアストンがようやく後ろへと注意を払った時には、すでにニーヴァスの鋭利な爪がアストンを切り裂こうとしていた。
誰もが各々の戦いやすい間合いを持ち戦っていた為に援護などできるはずがなかった。
アストンが諦めた、その瞬間。
スクルドのいた場所から赤い光が放たれたかと思うと、その赤を切り裂き黄色い稲妻がアストンを捕らえようとしていたニーヴァスを貫いた。
それを20ものニーヴァスを一度に相手にしていたオスカーが遠目に見ていた。
「あれは、とっつぁんの『雷狐瞬鍠』か。目にするのはスフィア戦争以来だな。」