廃陸の旅団
「無茶すんなよとっつぁん。孫娘に会うまでに往生なんて後味悪すぎらぁ。」
バチバチと床を紫電が這う。
砂ぼこりの中から姿を現したスクルド。
一番近くにいたアストンと、その技を知るオスカーだけがスクルドの異変に気付いた。
「す、スクルド老師――!!」
心配そうに自分の身体を見るアストンにスクルドは優しく微笑みかける。
「心配は無用じゃ。――ぐっ、うぅ。」
ドバっと音をたて、スクルドの右腕から大量の血が零れる。
「スクルド老師、まさか……レッド・スフィアを――?」
身体は血のように紅く染まり、限界を超えた身体は自らのフォースで全身が裂け始めていた。
「すぐに終わる。ここに、おるがいい……スクアロに会えば君もまた戦える。」
そう言い残し、光を纏いながらスクルドはまた戦いの渦に身を投じるのだった。
ネオ・ニーヴァスとの死闘を繰り返していた一行。
ネオに劣るニーヴァスなど一蹴してしまえるほどに個々の力が上がっていた。
数百いたニーヴァスも次々と倒れ、そしてようやく次の扉へとたどり着く。
「さぁ、行こうかい?」
オスカーがそう言うと、カムイやマール、ジン、アストンにはためらいが生じていた。
「そうじゃな。行くとしよう。」
ためらいの理由はスクルドの消耗に他ならない。
老いによってフォースの絶対量が減っていたスクルド。
それでも平凡なフォースマスターのそれとは一線をかくしているのだが、自身の能力の代名詞ともいえる雷狐瞬鍠を扱うまでにはいかなかった。
それをレッド・スフィア吸収によるフォース増幅により可能にしたのだったが、それに耐えられ得るだけの肉体が今のスクルドにはなかったのだ。