廃陸の旅団
「グォォォォォォオッ!!!!」
巨躯に似合わぬスピードで突っ込むニーヴァス。
カムイ達はT字路を曲がり回避する。
ドォン!!という轟音と共に、何かが潰れる音がした。
ニーヴァスはT字路の中心で、硬化すると帰路を完全に塞いでしまった。
「くそ、これもトラップの一つかよ。」
「しかもロイさんが犠牲になってしまいましたね。すみませんアルネアさん……あれ?アルネアさん?」
振り返るとそこにはアルネアの姿が無かった。
「待って、アルネアだけじゃない。スクルドのおじいちゃんも居ないよ。」
そこにいたのはカムイ、ジン、アストン、マールそしてオスカーだけだった。
「どうやら2人はもう一方の道に逃げたようだな。」
「くそっ。せめてこの中の1人でも良いから向こうに逃げてたらスクルド老師をサポートできたのに。」
ゴツっと地面を叩くジン。
「おめぇら何を心配してるんだ?」
「何って、オスカー何であんた平気な顔をしているんだ!?老師の身に何かあったらどうするんだ!!」
オスカーの胸ぐらを掴み叫ぶカムイ。
オスカーは面倒臭そうに耳を塞いでいた。
「ピーピー、ギャーギャーと五月蝿ぇヤツ等だな。お前等なにも分かっちゃいねぇ。」
オスカーはカムイの手を外すと、塞がれた道に背を向け歩き始める。
「とっつぁんが無属民ごときにやられるわけがねぇだろ。そんなに心配ならさっさとこっちの道調べて、戻れば良いだけの話だ。違うか?」
オスカーの言葉にようやく冷静さを取り戻した一行は、奥へと進んでいく。
「……だからよ、オレ様達が戻るまで死ぬんじゃねぇぞ――じじい。」