廃陸の旅団
それはニーガルも同じだった。
「この子が例の異端児なのですよ。」
ニーガルの言葉にスクルドは驚き、そして更に深い悲しみをはらんだ眼をする。
「そうかこの子があの時の少年か……こんなにも立派に成長してくれたのですね。」
「ええ。彼は強くなりました。しかしまだ子供であるのが事実です。親と引き離され周りからは蔑み敬遠される。どれだけの辛い思いをこの強い瞳に無理矢理隠してきたのでしょう。」
スクルドは優しくカムイの額をなでる。
するとカムイの顔がどことなく和らいだ様な気がした。
「老師……私は時折、我々のしていることに疑問を抱かずにはいられない時があるのです。」
鋭い眼光に戻ったニーガル。
スクルドは依然として優しい瞳でカムイを見つめている。
「ニーガル中将くれぐれも焦りは禁物ですぞ。そして、目先ではない真実をいつでも見てくだされ。」
「……はい。お話できて光栄でした老師。」
ニーガルは敬礼をすると病室を後にした。