廃陸の旅団
因縁の戦い
飛び掛かるジン。
滞空の最中に鎖を造り出し、黒ずくめに向かって投げる。
「忙しないヤツだね。」
サッと身を翻し交わす。
標的を失った鎖はジンの巧みな誘導により、改めて標的を囲うように矛先を変える。
「『結鎖・烈風陣』」
「ちっ……『泡泉渦-ホウセンカ-』」
ジンの風の刄が切り裂く間際、得体の知れない泡の様なモノが黒ずくめを包み込んだ。
ドォォォッと激しい音が鳴り響き、風が止む。
「やるね。無傷とは驚いたよ。」
砂ぼこりが晴れ、姿を現したのは――
「――!!あ、あれは現ウェイバー隊長"風魔-フウマ-"のナタリア。」
アストンだけが気付いた異常事態。
B.A.S.E.の仲間であるナタリアからの攻撃を受けていることにより、浮上する疑問。
「……軍服か。あんた敵?」
一旦、鎖を手元に戻しジンが聞く。
「敵か?と聞かれたら頷かざるを得ないね。しかしお前は何者だ?と聞かれたら……」
一瞬にしてフォースが膨れ上がり、差し出した右手に呼応してジンの周りを結界が覆う。
「貴様を仇とする者と答えよう"氷空"のジン!!くらえ『嵐牙牢』」
「これはアニスの?まさか、こいつ――」
烈風陣のお返しと言わんばかりに、ジンを襲う風の刄。
暴風域の中心が僅かに光を放つ。
すると大爆発が起こり、風の刄を掻き消した。
「アニスの姉貴か、姉弟そろって面倒臭い術を使いやがって。」
「ふふふ。弟のそれと一緒にしてもらっては困るけれどね。」
四天士の1人であったアニスを倒したジン。
弟の敵討ちをするだけがナタリアの望みだとは鵜呑みにできないが、2人の戦闘は歯止めがきかぬままに激しさを増していくのだった。