廃陸の旅団
ジンの鎖がナタリアを襲う。
ナタリアは体術に長け、高速で向かってくる鎖を難なく蹴り飛ばす。
「――ちっ。」
「貴様の弱点はこれだろうジン?」
ジンは呪術発動に鎖による魔方陣を描く必要がある。
投げ飛ばされた鎖。
それだけで十分に標的を退けることができる打撃となるのだが、これは魔方陣を描く為の伏線に過ぎない。
相手の力量を見極めた上で、ギリギリ回避できるスピードで鎖を放ち、わざと回避させ、その僅かな隙に魔方陣を地に描くのだ。
ナタリアに蹴り飛ばされた鎖が力なく地面に落ちる。
「こうして推進力を奪ってしまえば、鎖は進むことができず陣を描くことはできない。さぁ、アレを使いなよジン。」
ジンは鎖を手元に戻しナタリアを睨む。
ジンの能力を潰したナタリアが満足そうに笑っている。
「さぁアニスを倒した、"全てを吸い込む剣"を出しな。」
アニスを倒したジンの能力。
それを破ってこそナタリアの仇討ちが完遂されるのたろう。
「へっ――やなこった。」