廃陸の旅団
「『結鎖・氷狼陣』」
「そんなものは効かないと言っている。」
またもジンの鎖を弾き飛ばすナタリア。
「――おとりだよ。」
鎖を弾かれた瞬間。
ジンが超接近戦へとのりだす。
「……だろうね。」
キッと一睨み、ナタリアがジンを捕える。
「『三連嵐蹴-サンレンランシュウ-』」
後方への回し蹴り。
第一撃と共に、吹き飛ばされる間もなく第二、第三撃が襲う。
「がっ、くっそ。『散鎖・氷狼結界』」
「私を守れ『魔鍠楼』」
無明の闇がナタリアを包み込み、氷原の世界から身を守る。
「もう気は済んだか?あの剣を出さない貴様など私の敵ではない。」
「残念だけどね、アレはあんたなんかに使うようなもんじゃないんだよ。」
パキ。パキッ。
「…………?」
ジンの左腕に霜がおり、まわりに白い靄がかかる。
「マール!!」
「ふぇ?」
完全にジンの左腕が凍りつき、氷柱が垂れ下がる。
「終わったら治癒宜しく。」
右腕に掴んでいた鎖を凍りついた左の手に突き刺す。
ボトボトと流れ落ちる血が超零度で凍り付き、真っ赤な氷の鎖を形成する。
「ふぅ……『血鎖・紅蓮氷花-ケッサ・グレンヒョウカ-』」
「血氷の鎖?なんだそれ――は!!」
ナタリアの視界の右端に赤い影がうつる。
「わずかに速くなったくらいで私を捕らえきれると思っているのか!!」
身を返し交わしたナタリア。
通過する血鎖がナタリアの眼前で花開く。
「なっ!?花びらで視界が塞がれて……」
赤い無数の花びらが舞い、地面に落ちると、辺りの物質を凍り付かせていく。
辺り一帯を赤い花が覆いつくし、いつの間にかナタリアの足すらも凍てついていた。
「悪いね、オレの勝ちだよ。」
「――――ぐっ。」