廃陸の旅団
キィィィン。甲高い音が鳴り響き、二つの鋭い刃が弾け飛ぶ。

「久しぶりだなカムイ。」

フードをとった男。

「――!!あんた、ソニアさん!?なんであんたがここに?」

ソニアは着ていたマントをはぎ取ると地面に放り投げる。

その下には軍服は纏っていなかった。

「ある方の命令でね、無属民の残党の処理と……お前達の抹殺をね。」

「何故、無属民を?」

カムイの問いにソニアは意外そうな顔を見せる。

「分からない?例の少年ならばそのことは知っていると、辿り着いていると思っていたんだけどね。」

「……まさか、リダクション・スフィアを?」

にやり。とソニア。

「流石だね、ご名答だ。」


「…………誰の命令で動いている?」

睨み付けるカムイ。

ソニアは笑い飛ばす。

「はっはっは。教えるとでも?」

一瞬にしてカムイが間を詰め、ソニアの眼前に迫る。

「なら、力ずくで吐かせるさ。」

なぎ払う様にして振り抜いた刄が空を切る。

「……影縫いか。」

後ろへと振り返ったカムイを見下すように、ソニアは遥か後方でカムイを見ていた。

「神元流の真髄をとくと目に刻むが良い。『影縫い』」

カムイの背後から沸いて出てきたかの様に、一瞬にしてソニアがカムイの背中を取る。

「前より速くなったからって、オレには通用しない!!」

ズバッ。とカムイは振り向きざまにソニアを切り裂く。

「あっけないねソニアさん。」

「――どこを見ている?」

「――!!?」

声のした方を見ると、またソニアはカムイを馬鹿にするかの様に見ていた。



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