廃陸の旅団
そんなはずはない、と切り裂いたはずのソニアの身体を見るが、そこには服の一片すらもなかった。

「驚いてるね。確かに切ったはずなのに、って顔だ。」

くっくっく。とソニアが笑う。

「そら、もう一度よく見るといい。『影縫い』」

ソニアの身体が確かにカムイの視界から消え去る。

その瞬間、確かに背後に気配を感じ取り、カムイは再び刃を向けた。

ズバッ。

確かに手に残る感触。

しかしある異変に気付く。

「これは――影!?」

ソニアの切り口からは血ではなく黒い影が溢れだす。

それに反応したかの様に身体全体が黒く染まり、あたりに霧散する様にして消えた。

「じゃあ、本体は!?」

「ここだよカムイ。」

喉元目がけて振り下ろされる刃。

驚異的な反射神経で回避したカムイだったが頬に深い傷を負った。

流れ出る血をカムイは袖で乱暴に拭う。

「どうだい?ボクの『投影-トウエイ-』を目にした感想は。」

「別に……何も。」

「そう。なら、これはどうかな?『飛影』」





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