廃陸の旅団

ソニアの身体が消え、カムイの意識は無意識の内に後方へと向かう。

前方への意識がわずかに薄れた瞬間。

眼前に迫るソニアの刃。

「なっ、前からだと!?」

身体を反らして刄をなんとか流したカムイの無防備になった腹部を、空いていた左の肘で打ち抜くソニア。

「がっ、くっそ……」

カムイは地面に倒れこみながら無理矢理に刄を振ったが、それは影縫いで躱されてしまう。

「まったく恐ろしいガキだな。苦し紛れでボクに触るなんてね。」

ポタポタと僅かにソニアの顎先が出血していた。

「くっ……」

腹を押さえながら立ち上がるカムイ。

「どうしたカムイ。見せてみろよ『緑柱眼』とやらを。お前の力を見せてみろ!!」

凄んで見せるソニア。

カムイは小さく笑った。

「はは。嫌なこった。」

「そうか――ならお前には後悔する暇さえ与えずに殺してやる。『飛影』」

ドッ。と音を立てながら床が弾け飛ぶ。

今までで最速の速さにカムイは完全にソニアを見失った。

「ふぅ……『剣嶺』」

カムイは地面に孔気刀を突き立てる。

すると刄の切っ先から地面にフォースが流れ込み、結界を造り出した。

自らを円の中心とし、同心円を描く波紋の様に鋭い刄が地中から生える。

「何だこの技は――!?」

得体の知れない恐怖を感じたソニアが進行を止め、反射的に更に後方へと身を退けようと飛んだ時だった。

5メーターは距離を置いていたソニアの正に眼前にまで刃が突起しソニアの鼻を僅かに削る。

「助かっ――!?」






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