廃陸の旅団
カムイがアンバー・タワーの救護室を退院してから二週間が過ぎたある日。
「ま、待ちたまえ。何を考えているんだねカムイ君!!考え直しなさい。」
アブソリュートの機関長室から悲鳴のような声が聞こえた。
「今言った通りです。オレはこの機関を辞めます。」
「君はここを卒業すれば嫌でもB.A.S.E.に入ることができるというのに。それなのに今からB.A.S.E.の認定試験を受けるだなんて馬鹿げている。」
機関長室のソファーごしに怒鳴り声と冷静な声が交互に飛びかう。
「馬鹿げているいるかどうかはオレが決めることだ。」
カムイの鋭い眼差しに機関長は身震いをした。
「オレは今すぐにでもB.A.S.E.に入る必要がある。卒業まで三年?それだけの時間を無駄に過ごす暇はオレにはないんだよ。」
最後の一睨みが聞いたのだろう機関長はそれ以上止めようとはしなくなった。
しばらく沈黙が続いたのでカムイが部屋を出ようとしたその時。
「クラナドのことは諦めた方が良い。スフィアは麻薬だ。一度吸収すれば努力なしに力を得ることができると自惚れ、スフィアなしでは生きられなくなる。クラナドはスフィアを求め罪を重ねるだろう。」
機関長の最後のあがきをカムイは冷たく流す。
「そんなことはオレがさせたりはしないさ。必ず。」
少年は力強く、自ら選んだ道を歩き始めたのだった。