廃陸の旅団
「本当にお前は理解しがたいよオスカー。いつも飄々とした態度でいるくせに、そういった正義や伝統だとかを遵守する。」
「……うるせぇぞ。」
「封印を解け。その"大剣に埋め込んだ貴様の真の武具"で私と戦え。」
刹那。
オスカーの姿が視界から完全に消える。
「ごちゃごちゃとうるせぇ。ってんだよ。」
完璧に背後をとったオスカー。
ミルファはまだ構えすらできていなく、まず防御はできないだろう。
「終わりだミルファ。」
躊躇いの欠片も感じられない鋭く、薙払うかの様に振られた大剣がミルファの胴体を真っ二つに切り裂いた。
「――――!!こいつは……」
オスカーが違和感に気付いた直後、切り裂かれたミルファの身体がゆらゆらと揺れながら消えた。
「ちっ。本当に面倒くせぇヤツだな。『蜃気楼』はお前の得意術だったな。」
するとオスカーの見据える遥か先に、ふわっとミルファの身体が現れる。
「思い出したか、それはなによりだ。ついでだ貴様の双剣・史上最も美しいとされた『紫閃刀-シセントウ-』を出したまえ。」
「はっ。嫌なこった。」
一歩で最高速まで達したオスカーがミルファへと突進する。
「そう……なら、もう死になよ。『白焔・黄昏の鎮魂歌』」
双剣を振るうミルファ。
生み出された超高温の振動波は魂すらも浄化しそうな荘厳な調べを奏でながらオスカーを飲み込んだ。