廃陸の旅団
「――くっ。」
左脇腹を抱えながら後退るスクルド。
その出血量は並みの術師ならば治癒不可なほどであった。
「はぁ、はぁ、はぁ。『ヒール』」
なんとか血を止めたスクルド。
しかし連続した雷狐瞬鍠とレッド・スフィアにより強制的なフォースの増幅はスクルドの身体を限界以上に傷つけていた。
「なるほど油断したわ。ニーヴァスに潰され死んだとばかり思っておったわ。」
自らを串刺しにした人物を見つめるスクルド。
そこには信じられないことにニーヴァスに潰されたはずのロイの姿があった。
「あれはオレの身体の一部さ。とはいってもあれが本体で、この男の姿は偽体にすぎないがな。」
「なるほど。つまりお主達は最初から我々を抹殺すべく送られた刺客、ニーヴァスだったということじゃな。」
ギッとアルネアを睨み付ける。
するとアルネアは不敵に笑い、本来の邪悪な姿を現した。
「流石は聡明なる老師。気付かれていなければロイと貴様が戦ってる最中に不意をつく算段でしたのに。」
「ふん。わざと殺気を放っておいてよく言うわ。ワシを殺したくて仕方がないのだろう?」
3人のフォース圧が上昇し、大気が揺れる。
「……。(ふむ、残るレッド・スフィアは1つ。しかしこれを使えばワシは必ず……これは最後の切り札。まだじゃ、まだその時ではない。)」