廃陸の旅団
スクルドの脳裏には消したくても消せないある出来事がフラッシュバックしていた。
向かい合うは弟子であり本当の息子の様に育てていた青年だ。
互いにぼろぼろになり、そして互いに紫電を纏っている。
「雷光瞬鍠を会得したのか……」
スクルドは自ら時期を見て伝授しようとしていたそれを、彼がマスターしていたことに驚く。
それと同時に溢れるのは、道を正してやれなかった後悔と、自らを凌ぐ使い手になった喜びだった。
「雷光瞬鍠?ちがうな。オレはあんたの術を真に完成した術へと昇華させた。みよ『雷狐瞬鍠』」
紫電が形をなし、そして2人の死闘が始まるのだった。
目を開いたスクルド。
ゆっくりと息を吐く。
「さらばスクアロよ。オスカー、カムイ後を頼んだぞ。」
懐から真赤な宝珠を取り出したスクルド。
自らの額にあてがうと、レッド・スフィアを吸収した。
爆発的に上昇したフォースに、身体が悲鳴をあげる。
筋が裂け、血管が切れ、身体中が軋むなか、スクルドは己の身体に紫電を纏う。