廃陸の旅団
雷の狐が吠える。
あたりは恐怖に震え、溢れだしたフォースが床や壁をえぐりとっていく。
「いくぞロイ、糸術『排空の調べ-ターミナル・ロンド-』」
放たれた数百の糸が空気を切り裂き、二乗数の真空波を所構わず撒き散らす。
「ゴォァァァァァァアッ!!」
雷狐は3本の尾でその糸をなぎはらう。
雷狐の尾に触れた糸が、高電圧に焼き切られていく。
「とんでもない攻撃力だな……ならこれはどうよ?『砕岩散弾砲-ロッキング・ショットガン-』」
硬化した腕で床を叩き潰し、破片が雷狐となったスクルド目がけて放たれた。
「ケェェェェェ……」
バチッ。と一瞬雷光が弾けたかと思うと、放たれた破片が空中で止まった。
そして――
「ケェァァァァァアッ!!!!」
雷狐が一喝すると
「なっ、なんだと!?」
破片は方向を変え、ロイに向かって急速に向かっていく。
ドゴオッ。と激しい音を立てながら、ロイは破片とともに砕け散った。
「なるほど、超電力で電磁石と同じ力を生み出し、破片に含まれていた金属に反応して、跳ね返したのか。」
親子というのは任務上の繋がりだったが、仲間であるロイがやられたというのにアルネアは平気な顔をしていた。
「ったく、うすのろが。まだ力の半分も出させていないではないか。」