廃陸の旅団

「仕方がないな。」

アルネアは糸を自らの身体に巻き付けはじめた。

幾千、幾万の強靱な糸が絡まりあい、より強固な糸をつくりあげる。

「いくぞ化け狐。『重糸の鎧-スリンド・アーマー-』」

クリスタルの様に煌めく鎧を身にまとったアルネアがスクルドに襲い掛かる。

強固な鎧とはいえ、素材は糸でできている為に軽い。

それはアルネア本来の俊足を妨げることなく、純粋に防御力だけを底上げした。

「ケェェェェェェッ!!」

スクルドは尾を振り、アルネアをなぎはらう。

「くっ、なんという電力。この鎧を纏っても尚、全身を痺れさせるか……」

妖狐と化したスクルドの全身には超強力な電気がまとわりついている。

スクルドの攻撃を受ければもちろん、スクルドに攻撃をしても電撃が身体を襲う。

攻防において付け入る隙がない。それが雷狐瞬鍠を完成された術と言わしめる由縁なのだ。

「……たが触ったな?私のスリンド・アーマーに触れたモノは自由を奪われる。」

「――――!?」

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