廃陸の旅団

自らの尾の異変に気付いたスクルド。

三本の尾の中の一つに、確認するのが困難なほどに細かい糸が絡み付き、動かなくなっていたのだ。

「クェェェェッ!!」

雷狐は全身に高電圧を流し糸を焼き切ろうとしたが、アルネアの糸は電気を通さず焼き切ることができない。

すぐさま残った尾の一つで振り払おうとしたのだが。

「バカめ……まんまと引っ掛かったな。」

細かい糸は振り払おうとした尾にまで絡み付き、その自由を奪い去る。

「ふはははは。無様だな化け狐。そうら、貴様が尾ばかり気にしている間に私は辺りに糸を張り終えてしまったぞ?」

アルネアを中心に蜘蛛の巣の様に糸が張られていた。

その一本一本から凄まじいばかりの憎悪が感じられる。

「足掻けば足掻くだけ貴様の自由は奪われ、何もしなければ捕食される。さぁ、どうする?」

にやりと笑うアルネアの背中から左右に二本ずつの脚が生える。


「我が最大の術で幕を引くとしよう『狩猟蜘蛛-アラクロイド-』」

もはや完全に人外の生物へと変化したアルネア。

その姿はまるで蜘蛛。

自らの体積を遥かに越えるものでも糸に絡み付け、じわじわと血を啜る。

「ザァ、イグゾ……バケギツネ。」




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