廃陸の旅団
憎黒の宝珠
窮地に立たされたミルフア、ナタリア、ソニアがほぼ同時に何かを取り出す。
それは光り一つ反射させない漆黒の宝珠。
「何だそれは……?」
オスカーの問いにミルフアが不気味に微笑み答える。
「くっくっく……ただの石ころに見えているのなら滑稽だよオスカー。これは『増黒の宝珠-ブラック・スフィア-』さ。」
「ブラック・スフィア……だと!?」
世界中を飛び回り数多のスフィアを見てきたジンですら、一度も目にしたことのないスフィア。
「そうブラック・スフィア。これはエターナル・スフィアの欠片から造り出されたスフィア。」
「そのフォース含有量はレッド・スフィアの30倍を優に超える。」
ソニアの言葉に驚愕するカムイ。
「レッド・スフィアの30倍……!?そんなものを使ったら、あんた。」
カムイの頭のなかでは、クラナドがレッド・スフィアを吸収した時のことが蘇っていた。
「細胞が崩れオレの命は消えるだろう。だが……それと引き換えにオレは一瞬だけ最強の力を手にする。」
おもむろにブラック・スフィアを額にあてがうソニア。
「ああ……オレの命はアナタの為に。」
神にでも祈りを捧げるかの様に呟き、ソニアがブラック・スフィアを吸収した。