廃陸の旅団
異形となったミルファからはおぞましいばかりに膨大なフォースが溢れだしていた。
「……どうだいオスカー?力が……力が漲っている。」
ビリビリと皮膚がフォース圧で揺れる。
「そんな姿にまでなって力が欲しかったのかミルファ?お前の望みはそんな程度のものだったのか?」
オスカーの問いにミルファはバカにするように笑う。
「滑稽だオスカー。お前の様な小さなフォースに、こんな程度と言われるとはね。この私の強大なフォースが分からないのか?」
勝ち誇るミルファがオスカーを見下すと、予期していなかった表情に笑いが止まった。
「……何だその目は?」
怒りとも悲しみとも違う。
「見るな。そんな目でこの私を見るなぁぁあっ!!」
憐憫の目。
一時の力に目が眩み、一緒に鍛練をした志高きかつての仲間が、人として墜ちてはいけないところまで墜ちてしまったことに、オスカーは憐れみを覚えていたねだ。
飛び掛かったミルファは白焔を身体中に纏いながら突進してきた。
「……『放爆刃』」
フォースを込め打ち放った大剣がミルファに突き刺さる。
大剣はピカピカと点滅を繰り返し、一瞬瞬いたと思うと大爆発を起こした。
土埃が舞い上がり手先の視界すらも見えない。
すると土埃の一点が晴れ、その中からミルファが現れた。
「おのれよくも……よくもよくもよくも……この私の顔をぐちゃぐちゃにしてくれたな!!」
大爆発により顔の右半分がえぐり取られてしまっていたミルファ。
変体によって醜くなっていた顔面が更に崩れている。
「許さん許さんぞオスカー!!!!」
しかし、そこはブラック・スフィアによって強化されたフォースである。
ネオ・ニーヴァスの様な蘇生力でみるみるうちに顔が元通りになった。
「……ちっ。本当に面倒くせぇ。」