廃陸の旅団

ミルファは身体を硬化させ所構わずにそのハンマーの如き腕を打ち付ける。

「ちっ……人間味の欠片もねぇ攻撃しやがって。てめぇジジイに何を教わってやがったんだ『真空波』」

振り抜いた大剣が空間を切り裂き、凄まじい真空波を生み出す。

ゴォォォォオッ。と轟きながら真空波がミルファを直撃する。

その威力は辺りの壁や天井、床すらもを人の丈ほど吹き飛ばすほどだ。

「はっはっは。何度やっても同じだよオスカー。ブラック・スフィアの蘇生力をなめないでもらいたい。」

負傷した部分が黒く染まり、濁ったフォースが傷口を塞いでいく。

「バカが。蘇生なんかさせねぇよ『巨王の鉄剣』」

天井ぎりぎりまで飛翔したオスカーが、大剣を下向きに構え、そのままミルファの傷を負った腕目がけて超速滑空をした。

「なっ!!なんだとぉぉぉぉぉおっ!!!?」

オスカーの刃は強化されたミルファの筋肉を切り裂き、腱を断ち、骨を砕いた。

ボトッ。と不快な音をたてながら左腕が切り落とされる。

「こんな傷で私を倒したつもりかオスカぁぁぁぁあっ!!!!!」

怒り狂うミルファの目にある光景が止まる。

「――!!」

それはオスカーの周りをゆっくりと穏やかに回る、水流だった。

「双剣術・奥義『渦潮』」

< 410 / 583 >

この作品をシェア

pagetop