廃陸の旅団
再びスクアロが詠唱を始めると、先程の黄金色のフォースがカムイとジンを照らしていく。
周囲から影が完全に消えるほどの輝きが治まると、気絶していたはずの2人の身体が僅かに動いた。
「そこのヒーラーさん、ぼさってなさらないでお二方を治癒!!」
「ふぇ、あっ、うん。『ヒール』」
スクアロに焚き付けられてマールが2人を治癒していく。
「くっ、あっ……」
「……いたたた。」
ゆっくりと身体を起こす2人がソニアとナタリアの異変に気付く。
「なんかフォースが弱まってる?」
ブラック・スフィアによって増幅していたフォースが今は感じられなかった。
2人がそれに気付いたことを悟りスクアロが言う。
「私が2人のスフィアを封じ込めています。しかし抑え続けるのも限界です。今のうちに止めを!!」
カムイとジンがお互いを見合せ頷く。
いくらスクアロにフォースを分け与えて貰い、マールによって応急措置を受けたからといって2人の身体が回復したわけではない。
枯渇しそうなフォースをなんとかして振り絞り、ジンは鎖をカムイは剣を構えた。
「せめてオレの手で送ってあげるよソニアさん。『剣嶺』」
「あの世で姉弟仲良くやってくれや。『結鎖・氷狼陣』」
ソニアを囲った幾万の剣が悉くソニアに突き刺さり、核となる心臓部と融合していたブラック・スフィアをも突き砕いた。
極寒の結界内では細胞が活性化されずブラック・スフィアの蘇生力を以てしても、群狼による攻撃に間に合うわけもなくナタリアは切り刻まれた。
「くそ、くそっくそぉぉぉぉぉおっ!!ローザス様ぁぁぁぁぁぁあっ!!!!」
暴走したブラック・スフィアが爆発し辺りが吹き飛ばされる。
晴れた煙の中で、戦いを終えた6人が立っていた。