廃陸の旅団
走り続けていると、マールがある異変に気付いた。
「あれ?変なのに道塞がれたのってあそこだよね?」
前方を指差すマール。
確かにそこにあったはずのニーヴァスが硬化した物体が見当たらなかった。
「てぇことは、とっつぁんが破壊したのか?」
「それはそれでオカシイだろオスカー。だったら何で老師の姿が無いんだ?」
ニーヴァスの塊があったはずの場所を抜けて、広い空間に出る。
「――出口も何もない行き止まりだ。」
そこはただ広いだけの空間で抜け道らしいものも何もなかった。
辺りを慎重に調べ始めた一行だったが、ある物をジンが見つけた。
「――これ、超電圧で床が焼き焦がされた跡だ。」
黒くなった床を指で撫でながらジンがそう言うと、皆がジンの元へと集まってきた。
「こいつは『雷狐瞬鍠』の跡だな。随分派手に戦ったみてぇじゃねぇか。」
跡を見たオスカーがアゴ髭を撫でながら言う。
するとスクアロがおもむろに詠唱を始めるのだった。
「スクアロさん何を……?」
「しっ、黙っとけ。どうやらこれは、とっつぁんの残したメッセージかもしれねぇ。」
「…………?」
スクアロの詠唱が続く。
ゆったりとした言葉が放たれる度に、黒い焦げ跡が青白く点滅していく。
「全ての思考を宿し象形物よ、刻まれし意図を今ここに現せ『エクスフィール』」
カッ。と黒い焦げ跡がまばゆい光を放った。