廃陸の旅団
一方アンバー・タワー高層ではハイマンスが手をこまねいていた。
「いったい何がどうなっているのだ……まるでこちらの動きがテロリストに伝わっているかのようだ。」
「やはりここは、B.A.S.E.に……いえ軍上層部にユダがいると断定し、事を慎重に運ぶべきだと考えますわ、お父様。」
下を見ると、下層階から市街から炎と煙があがっている。
ハイマンスは来ていたコートを脱ぎ捨て、自らが戦線に立つときに身に付ける、さ純白の絹の手袋をはめた。
「部下を疑いたくはないが仕方がない。ここからは私とローザスのみで秘密裏に行動するついてこい。」
扉を開け部屋を出るハイマンス。
その後にローザスも続いた。
「……お父様。それでも残念ながら敵は止まりませんわ。」
背中で聞いた言葉にハイマンスは立ち止まる。
「弱気になるとはお前らしくないな。しのごの言わずに行くぞ…………なっ!?」
ハイマンスは再び歩きだそうとした時に、脇腹に激痛を感じた。
見ずに触れた傷口は生暖かい血でぬるぬると滑った。
「……どういうことだ、ローザス!!?」