廃陸の旅団
深手を負い地面に伏し、身体が僅かにしか揺れていない所を見ると、急を要する状態なのが簡単に見て取れた。

「マール!!マール頼むよ。リリーを助けてやってくれよ。なぁ!!」

マールの小さな肩を掴み、カムイが叫ぶ様にして頼む。

しかしマールにはもうリリーがどういう状態かが分かっていた。

「…………。」

マールは瞳を逸らす。

その瞳にいっぱいの涙が溜まっていることも気付かずにカムイは、肩をがたがたと揺らし続ける。

「なんで、何も言わねぇんだよ。マール!!リリーを助けたくねぇのかよ!?」

最後の心ない言葉にキレたのはジンだった。

横から何ら手加減もなくカムイを殴り飛ばす。

「バカ言ってんじゃねぇぞカムイ。マールだってな、てめぇみたいに取り乱すほど辛いに決まってるだろうが!!」

ジンの背中でマールはぼろぼろと涙を溢した。

「……もうリリーは私の力じゃ助けてあげられない。だからカムイはリリーの所に行ってあげて?私はまだ助かる命を救わなきゃいけない。」

仕方のないことだった。

歴史的に見てもヒーラーでも最高の治癒力を持つマールですら不可能な様態。

それはフォースにより治癒の限界を示していた。

消えた命、消えいく命はいくら魔法的な力を持つフォースでも救えないのだ。

「……お願いカムイ。私の分まで最後にリリーの傍に居てあげて。」



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