廃陸の旅団
天上の戦い
カムイとは別行動でアンバー・タワーの上層階を目指す一行。
アンバー・タワーの惨劇はケルセウム市街の比ではなかった。
血は床を真っ赤に染めあげ、その床に転がるのは無数の軍人の亡骸。
ほとんどの人が即死で、どうにか息を引き止めていた者も大半がマールですら治癒不可能な状態だった。
「どういう状況だよこりゃあ?」
「ヒドイ……何でこんな。」
まだ息のある者を残していかなければならない腑甲斐なさにマールは拳をぐっと固めた。
それに気付いたジンが何も言わずに優しくマールの頭を叩いた。
5人は階段を駆け上がる。
その間にも絶える事無く、血が散乱し軍人の亡骸が転がっていた。
その中には、会ったことのある研究員達の姿もあり、悲しみと怒りが一行を襲う。
「――!!マールさん、あちらに生存者がいます。」
スクアロが瓦礫の下に負傷した軍服の女性を発見した。
オスカーとジンが瓦礫を振り払い、女性を引っ張りだす。
「クルー・S・ウーゼル大佐!!」
それはガンマー隊長のクルーだった。
アストンは安堵の息をもらした。
「外傷は相当ひどいけど、強靱なフォースが身体を支えてる。うん、これなら救えるわ『ヒール』」
青白い優しい光がクルーの身体を包み込んでいく。
そして数分後、クルーが目を覚ますのだった。