廃陸の旅団
目を覚ましたクルーは無理矢理に身体を起こす。
「ぐっ……痛たたた……この命救ってもらいすまないね。シスター・マール。」
「ふえっ、私のこと知ってるの?」
驚くマールにクルーは温かい母親の様な笑顔を見せる。
「それにしても凄いメンバーだな……廃陸の旅団初代、ニ代目団長にシスター、アストン准将に……これは懐かしい、"舞孔"のスクアロかい?」
スクアロは一歩前に出て、クルーと握手をした。
「クルー、私が無属民に囚われている間に大佐にまで上り詰めたのですね。」
「ああ、せっかくスクアロが戻ってきたっていうのに軍はこの状態。情けないったらありゃしないがね。」
「昔話も反省も今はどうでもいい。現状を聞かせろ。反乱の主犯はローザスと見て間違いないか?」
オスカーの威圧感にクルーですら額に汗が伝った。
「私が戦ったのはローザス副監ではなかった。軍の者でもなく、顔の知れたお尋ね者でもなかった。そいつはこう言ったよ「我々はローザス様より生まれし者」とね。」
「ローザスから生まれた者?我々ってことは複数だな。」
「しかしローザス副監に子息はいませんよ。ローザス副監から生まれた者とはいったい?」
ジン、アストンの言葉を聞きながらクルーは対峙した者のことを思い返していた。
「ローザス副監の子息であるはずはない。容姿から推測されるそいつの年齢は軽く見積もっても私と同等くらいだった。」
「ならばローザスを狂信する者と考えるのが妥当でしょうね。」
深まる謎。
一行はクルーをその場に残し、さらなる上を目指して進み始めた。