廃陸の旅団
ハイマンスを抱えあげると、口に血が溜まっていたのだろう、吐血をした。
「……オス……カー……すま、な……い……」
「しっかりしやがれ。おい、マール!!診てやってくれ。」
マールが駆け寄り、両の手に繊細にフォースを纏わせ、触診をしていく。
真剣な表情にオスカーでさえ生唾を飲んだ。
「おい、どうなんだ……」
マールの額から汗が吹き出し、瞬く間に頬を伝って地面にこぼれ落ちた。
そして、ゆっくりとマールが口を開く。
「身体の中心、心臓の左四半分を鋭利な物で貫かれている。出血も致死量をとっくに超えていて、普通ならまず助からない。」
マールは両の袖をめくりあげ、青白い治癒のフォースをあてがう。
「強靱なフォースで傷口を強制的に潰して止血してあったのが幸いして、出血は致死量を超えたものの最低限に抑えてあるわ。更に僅かだけど意識もある、これなら……助けられるかもしれない。」
ハイマンスが光に包まれる。
誰一人として言葉を発しないままに、時間だけが過ぎていくのだった。