廃陸の旅団

分厚い鋼鉄の扉を開くと突風の様な風が舞い込み、雲一つ存在しない真青な空間が広がっていた。

「…………!?な、なんだアレ!?」

カムイは視線の先にある物に、自分の胸がかつてないほどに高鳴るのを感じた。

「まさか、あれがヴァルハラへの方舟……古代天艇か!!」

古くから語り継がれ、存在し得ないとまで言われた古代天艇がそこにあった。


「……ようこそカムイ・フロストマン。」

古代天艇のハッチが開き中から人が降りてきた。

軍服の上から白いコートを纏った女性。

「……ローザス!!」

ローザスは、ふっと笑みをこぼす。

「上官に向かって呼び捨てだなんていけない子ね。」

「はっ。B.A.S.E.を壊滅させた張本人がよく言えたものだな。」

ローザスは階段をゆっくりと降りると、カムイの傍へと歩み寄る。

カムイはいつでも戦闘に入れるだけの準備をしていた。

「ふふふ。本当に口の減らない子ね。どうかしらカムイ。もしあなたが私の元にくるというならば、今からヴァルハラへと向かうこの古代天艇に搭せてあげないこともなくてよ?」

「……なっ!?」

そう言って手を差し出すローザス。

カムイはその手を見つめる。

幼い頃からの夢であるヴァルハラ。

自分の造った天艇でないとはいえ、その場所に辿り着くということはカムイの悲願成就に他ならなかった。

カムイが答えを迷うはずもなかった。


「ふざけるな!!」

ばしっ。と差し出された手を払いのけるカムイ。

ローザスは振り払われてしまった手をさすりながら言う。

「そう。残念だわ……もう少し賢い子だと思っていたのに。だったらここで始末するしかないわね。」

ローザスからハイマンスに勝るとも劣らないフォースが溢れる。

その威圧感で肌が震える。
「あんたはオレが倒す!!」





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