廃陸の旅団

孔気刀を造り出しローザスへと向かっていくカムイ。

微動だにしないローザスがカムイに向かい手を空で切る。

「孔気糸か!!」

目で捕えることすら困難なほど細い糸がカムイ目がけて向かってきていた。

カムイは孔気刀を構え、一閃。

「はぁぁっ『空衝波』」

巻き起こる真空波が糸を切り裂き、そのまま一直線にローザスへと向かっていく。

「甘いわね。『ファイアウォール-烈火の盾-』」

ローザスを護る火柱が真空波を遮断する。

空衝波が通じないことなど折り込み済みだったカムイは、自身もローザスへと突っ込んでいた。

「はぁぁぁぁあっ!!」

火柱を突き抜けカムイは振り上げていた孔気刀をローザスに向ける。

振り下ろされた孔気刀がローザスを捕らえようとした瞬間。

「……くすっ。かかったわねカムイ。」

カムイの身体が完全に硬直した。

「――なっ!?身体が動かない……」

カムイは身体が硬直しただけでなく、まるで重力が存在しないかのように空中で宙吊りになっていた。

「おバカねカムイ。私の術を潜り抜けて平気なわけがないじゃない。」

「――まさか、ファイアウォールの中に糸を!?」

なんとローザスは呪術の中にまで孔気糸を張り巡らせていたのだった。

「その通りよ。さぁお仕舞いね。」

カムイの全身に絡み付いた糸はローザスの手に繋がっていて、ローザスが手を握りこむだけでカムイの身体を裁断できる状態だ。

ローザスの手に力が伝わろうとした時、カムイの右目が緑色の光を放った。





< 431 / 583 >

この作品をシェア

pagetop