廃陸の旅団

大爆発が起こり、世界全てを照らしだした。

爆煙で視界が閉じた中で、スクアロが地面に倒れたのはまだ誰も気付いてなどいなかった。


「……やったのか?」

「分からない。それより皆無事か?」

オスカーはじっとローザスがいた場所を見つめていた。

しかしそこからあの緑孔の凄まじいフォースは感じられなかった。

「こっちは大丈夫だ。マールそっちは大丈夫か!?」

濃い煙の中で安否の確認は声以外の方法はない。

「私とアストンは大丈夫。」

「カムイくん、スクアロさんご無事ですか?」

アストンの声にカムイが返事をする。

「ああ、大丈夫。」

カムイの声は小さくか細かった。

戦闘中ずっと緑柱眼を発動していた為の反動で、右目に激痛がはしっていたのだ。

「……くっ、はぁはぁ。」

身体中が気だるさに襲われてカムイはその場に蹲る。

そうして、ようやく爆煙が取り払われていく。

空の青が黄土色と黒の煙から顔を出す。

ゆっくりと見えた太陽の光に誰もが安堵した時。


「はぁ、はぁ。はぁ。よくも……よくも私をコケにしてくれたな!!許さない、許さない!!」

全身がボロボロになりながらも、憎悪の目を込め立ちすくんでいるローザスがいたのだった。

「……マジかよ。あれだけの術くらって生きてるなんて。」

虫の息ではあったがジンが口を開けてしまうのも仕方がないほどに、強靱な生命力。

そんなローザスの手にあるものが握り締められていることにマールがいち早く気付いた。

「ん?あれってスフィア!?」

「何だと?まさか……あれはエターナル・スフィア!!」

マールの言葉にローザスの手を見た、ハイマンスの顔色が変わる。

「はぁ、はぁ、はぁ。もう許さないわ。あなた達を地獄に送ってあげる。」

透き通った海のような光を放つスフィアを額にあてがうローザス。

「まさかアイツ……スフィアを吸収する気だ!!力付くで止めろ!!」

オスカーが飛び出し、ジンがそれに続いた。

アストンは詠唱を始め、ハイマンスは……

ただ立ち尽くしていた。




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