廃陸の旅団
男の目から涙が滴り落ちる。
「ああ、なんと神々しきフォースだ。」
変わり果てたローザスを崇めながら胸の前で両の手を組み祈る。
ローザスは男を見ると背筋が凍りそうな表情で微笑む。
「ラクト……私ノ背中ニ乗リナサイ。」
「おい、今なんて言った――!?」
その名前にカムイは臓腑を掻き回されるかの様だった。
「あ……あなた様の背に私めを乗せて頂けるとおっしゃるのですか!?」
「ソウヨ。早クナサイ、我々ハコレヨリ未踏惑星ヘト向カウノダカラ。」
「はっ。あなた様の仰せのままに。」
ラクトはオスカーとジンを何の迷いもなく解放してローザスの背に飛び乗る。
止めを刺すまでもない敵だと、嘲笑われた様でジンは拳を地面に叩きつける。
「…………。」
ローザスはゆっくりと辺りを見回した。
倒れるカムイ、オスカー、ジン、スクアロ、アストン。
スクアロを必死に治癒するマール。
そして。
「サヨウナラ、オ父様。」
両翼をはばたかせ飛翔するローザス。
「待てローザス!!」
ハイマンスの声にローザスが空中で止まる。
「アナタガ本当ニ私ヲ殺シテデモ、アノ禁術ヲ使ッテ止メテイレバ私ハコウハナラナカッタノニ。残念デシタワネ……」
一瞥して天高くはばたいていったローザス。
もぬけの殻となった古代天艇だけを残し、遥か未踏惑星へと消えていったのだった。