廃陸の旅団
最終章〜蒼天の都〜
廃陸の旅団
コンコン。
薄い鉄の扉をノックしてジンが部屋に入ってきた。
「よっ。スクアロの調子どうだ?」
ローザスの戦いから4日が経ち、依然として眠り続けているスクアロ。
フォースの消耗が激しく、予断を許さない状態で、マールは4日間片時も離れず看病していた。
「うん、あんまり良くならない。肉体的な傷は治癒したけど……」
マールは見た目にも疲労困憊なのが見て取れた。
体力的にも精神的にも衰弱してしまっている。
ジンは持っていたトレイを部屋の隅にある机に置く。
「街で配られてた食事もらってきたから食べな。」
マールは無言でうつむいたまま首を振った。
ジンは小さく息を吐き、マールの傍に寄り添う。
「今、スクアロを助けてあげられるのはマールだけだ。食事も休憩もしないでマールが倒れたら、誰がスクアロを救ってやれるんだ?」
ポンと頭に手をあてて、ジンは部屋から出ていった。
扉の外で、食器の音を聞きながら、何もしてあげられない悔しさをジンは噛み締めていた。