廃陸の旅団
「はっ。はっ。はぁあっ!!」
汗を飛び散らしながらオスカーは一心不乱に拳を振っていた。
オスカーの代名詞ともいえる自身の倍はあろう大剣は大地に突き刺さったままだ。
そのツカには砂埃が溜まり、しばらく使われていないのが見て取れる。
「ぅらぁぁあっ!!!!」
正拳で一突き。
樹齢一千年は越える大木の幹がバラバラに粉砕され、その巨躯を地面に横たえた。
オスカーは自らの拳を見つめる。
カタカタと小刻みに震え、恐怖しているのが分かった。
目の奥でフラッシュバックする恐怖の記憶。
ノアに一方的にやられたことでオスカーの心が折れてしまったかのようだった。
「……よぉ、情けねぇ面してんな。」
大剣に写った自分の顔を見てオスカーがぼそりと呟いた。
そして、ゆっくりと目を瞑り、深く息を吐く。
オスカーの思いに応えるかのように大剣の内側で鮮やかな紫の光が溢れだしていた。