廃陸の旅団
アンバー・タワーの最上階から鉄のぶつかり合う音が聞こえる。
ジンはその音のする方へと向かっていくのだった。
ジンの気配に気付いたカムイが手を休めるとその音は鳴り止んだ。
「ジンどうした?」
「いや……何もやることがなくてな。」
そう言ってジンはその場に腰掛けた。
それをみたカムイは再び作業に戻る。
とても古く、汚れてしまっている飛行艇。
所々が欠け、穴が空いている所や錆びて使い物にならない箇所もある。
カムイは昼夜問わず飛行艇の修理に励んでいた。
「なぁ……カムイ。」
「ん?」
カムイは手を動かし続けながらジンの言葉に耳を傾ける。
ジンはいつになく弱気な声を出した。
「俺たちのしてることって正解なのかな!?」
ジンのその問いにカムイは即座に答える。
「ジンが間違っていると思うのなら不正解。間違っていないと思うのなら正解だろ?」
振り上げた金づちが甲高い音を響かせる。
ジンはただそのカムイの姿を見つめていた。
「いつだって正解、不正解は自分の中にある。自分を信じられなくなったら不正解。そうオレは思うけどな。」
カムイは振り向きもせずにそう言って、作業を続けていた。
「はっ。ガキのくせして生意気なこと言いやがって……ありがとよ、カムイ。」
ジンはそう呟いてその場を去っていった。