廃陸の旅団
マールの身体の周りを限界まで圧縮されたフォースの波が巡り巡、取り囲んでいく。

「それは…」

スクアロでさえ驚いたその術は、マールが昔一緒に旅をした女性からヒントを得た術であった。

「ローザスを…軍を慕い殺されたリリーの術『神域』を私なりの形にしたものよ。」

カムイと共にベースに入隊したリリーの守護系術。

ある程度の範囲に波動を巡らせ、外からの攻撃を悉く遮断する術であった。

が、しかしマールのそれはリリーのそれとは異なった。

「…そういうことですか。なぜあなたがウェイバーの能力を使えるのかと思いましたが。それは波導ではない。それは…普段拳にしか纏わない「インパルス」を全身に纏った、恐ろしくフォースを消費する捨て身の術と言うわけね。」

マールは不敵に笑うと、立ち上がり構えた。

スクアロも向き直り扇子を構える。

一瞬にして二人の距離が縮まる。

スクアロの鋭い太刀をマールのディバイン・プロテクションが弾き飛ばす。

恐らくまだマールにはスクアロの動きは捕らえ切れていない。

しかし死角の無い防壁がスクアロの四十八方、天衝地叩の攻撃を受け流しているのだ。
< 457 / 583 >

この作品をシェア

pagetop