廃陸の旅団

「――『隼の舞』。」

その時マールの視界に写ったのは、自由自在に空を飛ぶ隼が如きスクアロの舞。

觜でついばむように、噛み砕く様に打撃し。

空を飛ぶように、湖面を跳ねるように優雅に動く。

「なによこれ……人間の動きじゃない……!!」


ディバイン・プロテクションの上から攻撃を受けたのにも関わらず、マールの身体がズレる。

「では、これはどうかしら『銀獅子の舞』」



正に獅子の爪の如く鋭くまがまがしい斬撃。

華奢なスクアロが獣王の様なプレッシャーを纏いながら遅いくる様に、マールは無意識の内に後方へと飛ぶ。

「――うそっ……。」

瞬く間に距離を縮めていたスクアロの攻撃が、わずかにマールをかすめた。

それは絶対防御であるマールのディバイン・プロテクションを破りマールの腕にわずかだが確かに爪痕を残していたのだった。





< 459 / 583 >

この作品をシェア

pagetop