廃陸の旅団
マールがスクアロの戦闘速度についていけるようになったころ。

「最初に聞いておく。ジン……何故本気を出さない?」

オスカーのいつもに増して低い声に、横で聞いているアストンの身が震える。

「………。」

ジンは何も答えようとしない。

オスカーは一度ため息を吐くとアストンの方を向いた。

「アストン、お前。これから一週間オレ様と実践な。で、使っていい術は『ターピュレンス』と『クライムレイン』、『バーン』だけな。んじゃ……始まりだ!!」

一瞬にしてアストンとの間合いを詰め、まるで手加減なんて感じない勢いで、馬鹿でかい剣が振り下ろされた。

「"実践"だって言ったろうが。今のはオレ様がお前を切り裂く前に寸手で逸らしてやったが、次は遠慮なく殺すぞ。」

オスカーの剣はアストンを皮一枚で避け、地面を斬り潰していた。

アストンの全身から冷たい汗が流れ出る。

「んじゃ再開だ。」

オスカーが視界から消えた、刹那に剣が地面から抜かれた音がした。

それとまた同時に次の斬撃が振り下ろされる。

アストンは標的を捕捉し術を唱える。

「焼き尽くせ『バーン-掌の火球-』」

アストンの手から巨大な火球が放たれオスカーを直撃した。




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