廃陸の旅団
しかし、オスカーはひるむことなくその剣を振り下ろしてきた。

アストンは身動き一つできない。

「……これで死亡、二回目だ。」

無理矢理に逸らされた大剣が地面を砕き、また持ち主の肩へと戻っていく。

「お前さんバーンであの威力とは大したもんだよ。だが痛くも痒くもないがな。」

オスカーは傷一つついてなどいなかった。

アストンは直ぐ様立ち上がり術を唱える。

「大地に巡る恵みの雨よ、いまここにその姿を現せ。『クライムレイン-増穀の夏雨-』」

どこからともなく水蒸気が舞い上がり、津波となってオスカーに向かっていく。

「……甘めぇよ。」

オスカーが津波に向かって剣を振り上げると、一瞬沈黙が部屋を支配した。

そして次に聞こえたのは部屋を覆い尽くすほどの巨大な津波が、真っ二つに引き裂かれる音だった。

「引き裂け『ターピュレンス』」

巨大な竜巻が無防備だったオスカーを飲み込む。



空を裂く風の音は次第に止み、オスカーが姿を現す。

「…『真空波』」

ターピュレンスが止んだ途端。

アストンは巨大な真空波に巻き込まれ後方の壁にまで吹き飛ばされた。

壁から地面に崩れ落ちるアストン、またも一瞬にしてオスカーは間合いを詰め、その無情な刄を振り下ろした。



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