廃陸の旅団
「あの至近距離からの呪術を避けるとは誉めておこうか？」

自らの術の威力で破れてしまった手袋を外し、ハイマンスはそう言った。

「…結構だよ。」

カムイはハイマンスの遥か後方に回避していた。

「そうか…残念だな。私が人を誉めるなど滅多にないのだが…」

自分の方を振り向きもしないハイマンスにカムイは襲い掛かる。

振り上げた孔気刀は真っすぐにハイマンスに向かい振り下ろされた。

少しの躊躇もないところがカムイも流石である。

ハイマンスは首を傾けると背中越しにカムイの孔気刀を指で止めてしまった。

「ふむ。こんな薄い孔気刀で私を倒せるつもりでいるのか…全く、話にならん。」

孔気刀を挟み止めていた指に力を加えると、孔気刀はまるで薄いガラスの様に割れ、地面に散っていった。
< 468 / 583 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop