廃陸の旅団
「カムイほら見て御覧。」
優しい声。
優しい笑顔。
そして自分を軽がると抱えあげる大きな背中。
カムイは父親が大好きだった。
見て御覧。そう言って父親はぐにゃぐにゃに歪んでしまった滑稽なフォースを見せた。
手の平の上で剣の形を成そうとしたのだが上手くいかなかった様だ。
「わー、イモ虫だぁ。」
なんて素直な意見だろうか。
父親は笑った。
それにつられてカムイも笑う。
「パパは兵隊さんになりたいんだけどね、今度の試験ではこのイモ虫さんを格好いい剣の形にしなきゃいけないんだ。」
「イモ虫さんが剣になるのー?イモ虫さん凄ぉい。」
「あはは…その場合凄いのはオレになるはずなんだが…まだ分かんないか。」
父親はまたフォースを錬り始める。
カムイを抱き上げている身体が熱くなる。
手の平に集約されたフォースはまばゆく発光した。
「体内の核細胞を全て開く、そして体中に巡ったフォースを右手のみに集中。空間に拡散しようとしているフォースをまんべんなく包むイメージで掌に留め…最終的なイメージの形へと爆発、形成する。」
イモ虫の時とは違う輝きがカムイの目を刺激した。
カムイは必死に目を開け続けた。
そして視界が晴れると。
「あー、今度はゴボウになったぁ。」