廃陸の旅団
「なぁハイマンス、ローザスの傍にいた男。ラクトはオレの父親の名前だ。でも、あれがオレの父親のフォースには感じられなかった。どういうことか分かるかい?」
ハイマンスは僅かに天井を見上げた。
そして一呼吸をおいていう。
「お前の両親は国家連合が管理する収容所で暮らしているはずだが、その管轄は副監であるローザスの指揮下であっことを考えると可能性はゼロではない。」
「……そうか。」
その時カムイは歳よりも遥かに幼げな表情をしていた。
それはカムイがまだ16歳であることを思い出させた。
まだまだ両親に甘えていても不思議ではない時期に、戦いの旅に身を置いた少年。
「……やりせないものだな。」
ハイマンスがぼそりと溢した、その言葉は彼の本心に他ならなかった。
ゆっくり息を整え、ハイマンスが言う。
「今はあれがラクトであったかどうかを気にしている時ではない。オーバー・プラネットへの道は簡単ではないぞ。」
ハイマンスの言葉に呼応するかの様にカムイの瞳に強い光が戻る。
「そうだね。今は強くなることが大事なんだ。」
そしてまたカムイはハイマンスへと挑み始めるのだった。