廃陸の旅団
「くらえ『時雨蓮華-シグレレンカ-』」
降り注ぐ雨の様な同時攻撃。
その数は数えること叶わずも、オスカーには焦り一つなかった。
「久々だからな、あんま張り切るなよ?『双龍壁-ソウリュウヘキ-』」
それはまるで龍の翼に包まれたかの様に、頑強な防御。
雨は弾けては地面に落ちるのみ。
やっとの思いで残した雫も、一度羽を広げれば散っていく。
「……なっ、全て叩き落としたというのか!?」
「ちっ、久々だから消耗が激しいな。やっぱ歳はとるもんじゃねぇ。」
オスカーの両手で紫色に光る孔気刀。
刀身は短く、指にはめるタイプの指サックの様な形をしている。
その煌めきはまるで宝石の様に美しく、艶やかな光が見る者を魅了する。
「ビビってんなよ。今度はこっちからいくぞ『双牙斬』」
一瞬にしてアルファスの一人の懐に潜りこんだオスカー。
その初速の速さはアルファスのそれを超越していた。
「ぎゃゃゃあっ!!」
視界を紫の光が覆ったのを認識した時にはもう、四肢が体から切り離されていた。
「なんという速さだ。孔気刀の形態を変化させただけでこうも違うのか!?」