廃陸の旅団
発生した竜巻は床も天井も壁も何もかもを飲み込み暴れ狂う。

しかしいったいどんな造りをしているのか辺りはある程度まで削り飛ぶと、それ以上は傷すらつかない。

「僕の中でも上位の術が直撃した。助かったとしても無事ではすまないだろう。」

アストンは暴風が治まるのも見届けずに先へと進もうとした。

「…戦いの最中に敵に背を向けるとは感心せんの。」

土煙が晴れるとゲルゴアは何もなかったかのように立っていた。

その服の上半分は消し飛んでいたが身体に傷は見受けられない。

「む…無傷だと!?それにその身体…」

「じじぃにしては中々のものじゃろう?」

ゲルゴアの身体は老人のそれとは思えない程に筋肉が発達している。

はち切れんばかりに盛り上がった筋肉が鍛え上げられた体を表している。

「あなたの呪術の力は十分評価しておる。だからこそ術の使いにくい狭い場所を選ばせてもらった。」

服を着ていた時には分からなかったが、ゲルゴアの身体は通路のほとんどを塞いでしまうほど大きかった。

「ゲルゴアさんあなたは術者ではなく…」

「根っからの肉体派じゃよ。」
< 490 / 583 >

この作品をシェア

pagetop