廃陸の旅団
「んー、誰が来るのかまでは知らないなぁ……」
クラナドとカムイが話をしていると、何やら二人に近づいてくる影が。
「おう、クラナド。また落ちこぼれと一緒にいるのか?せっかく女にモテてるのにそいつと居たらお前までゴミ扱いされるぞ。」
絵に書いたようなリーゼントを揺らしたイカツイ男子生徒が、カムイを指差しながらクラナドにそう言った。
クラナドはカムイに申し訳なさそうに俯いてしまう。
「落ちこぼれとはよく言えたものだな。この機関で一人でも俺に勝てるやつがいたか?」
カムイのその静かな一言と氷のように冷たい眼差しに、その生徒は反論もできずにその場から逃げるように去っていった。
「はは、さすがカムイ君だ。あいつ機関内でも筋金入りの悪なのにカムイ君にかかれば一言でノックアウトだもん、凄いや。」
「……だがあいつの言う通りだクラナド。いつまでも俺と一緒に居るとオマエまで皆から敬遠されるぞ。」
カムイはクラナドの身を案じて言ったのだが、当人はいつもの笑顔を見せていた。
「うーん。でもカムイ君と一緒に居れば誰も近づいてこないんだもん。」
クラナドはにっこりと笑顔でそう言った。
カムイもそんな真っすぐなクラナドにだけは心を開いている。
とはいえカムイだって初めから他人を避け、他人から避けられていたわけではない。
五年前のあの日。
あの日を境に彼は周りから蔑まされるようになってしまったのだ。