廃陸の旅団
「ったく、このままじゃ埒開かねぇな。けどアレ使ったら副監に何を言われるか……」
恨めしそうにローザスを見たソニア。
その様子を見てカムイは、始めから感じていた感覚が確かなものであったと確信した。
ソニアは手を抜いている。
「手抜くのやめた方が身の為ですよソニアさん。」
カムイの挑発的な言動にソニアは笑顔を返す。
するとソニアのフォースが両足に収束していく。
「なっ!?あの馬鹿、認定試験でアレを使う気か……!?」
ローザスはカムイには申し訳ないが、この試験不合格となることを確信した。
「じゃあ、そうするわ。神元流歩法術『影縫い』」
カムイの目の前からソニアの姿が消える。
「なに!?消えただと?」
するとまるでカムイの影から沸いてきたかのように一瞬にして、カムイ真後ろに移動する。
間一髪で反応したために大きなダメージはなかったが初めてカムイはソニアの攻撃をまともに受けてしまった。
「こんな凄いの隠し持ってるなんてズルいなぁソニアさん。」
斬られた腕を抑えながらカムイがそういうと、ソニアは笑った。
「オレの二つ名を教えてやろう。オレは"閃光-センコウ-"のソニア、最速の剣術・神元流の正当後継者だ。」
名乗り終えるとソニアがまた視界から消える。
「相変わらず卑怯なくらいの速さだな。」
「ああ、あれを攻略出来んのなんてニーガル中将くらいなもんじゃないか?」
また、容易にカムイの背後をとったソニア、今度は脇腹に一撃を見舞いする。
「ぐっ。確かに速いけど、背後にくると分かっていれば何も脅威には感じない。」